新着コラム「犬を飼う(買う)ということ・・・」
2015.07.28 コラム 先日、一本の電話がかかってきた。生後3か月のトイプードルがケージに入れると鳴くというしつけの相談でした。相談者は、ペットショップの店員から一人寝ができ、トイレのしつけもできているとの説明を受け購入した模様だ。相談者は、1階に犬のケージを準備して、その中で寝かせ、家族は2階で就寝しようと幸せな毎日を夢見ていた。そして、新しい家族(トイプードル)がやってきた。
しかし、ケージに入れると鳴いてうるさい。2、3日様子を見たがうるさい。唯一、家の中を自由に遊んでいるときは、静かであった・・・トイプードルは、ゲージから解放され1階を占有することになった。
トイプードルの権力は、徐々に伸びていった。トイレは自分のしたい時にしたい場所で排せつを始めるし、大好きなソファーを人に譲ることはない。散歩も声をかけると連れてってもらえ、食事も声をかけると用意される。
いつしか、相談者は執事のようになり、最悪の時は奴隷となってしまっている。奴隷の反乱がおこり、正常になればよいが大抵は犬猿の仲になってしまう。
「どうして、このようになってしまったのだろう・・・。」
一つは、相談者がトイプードルという犬についてもっと知っておく必要があった。トイプードルは、基本的に頭がよい。頭がよいということは、悪知恵が働く、自分に都合の良い状態をどのように手に入れるか考え行動を起こすことが得意なのである。
もう一つは、ペットショップの店員だ。犬を売るために素晴らしい未来をつい語ってしまうクセがある。確かにすばらしい未来はある。しかし、それは始めから用意されているものではなく、犬と一緒に勉強して育て、社会のルールを教えていくことが必要なのである。
この二つのことに気を付けていれば、大きな問題にならなかったことだろう。
その後、相談があったトイプードルは、最悪の事態を迎えることなく正常に落ち着いた。
飼い主は犬を育てるという覚悟を持ち、それをサポートしていかなければいけないのが私共なのです。
ある日、大手ペットショップ社長と話をする機会があった。それは、夜のリラックスしたお酒の席でのことでした。前述のようなことがあって、私はペットショップについて少し不信を抱いている傾向にあった。そのような私に、社長は自分の考えていること、思っていることをストレートに遠慮なくぶつけてくる。しつけの話に真剣なのだ。しばらくすると話題も変わり笑いが絶えない時間の中に、何年かかるかはわからないが、人、犬が良い方向に進む予感を感じることができた。
著者 K